本記事更新日時点の法令の状況。勅令第238/2026号は2026年4月20日から施行されていますが、適用は延期されています。命令HAC/1028/2026は2026年10月5日のスペイン官報(BOE)に公布され、翌日に施行されました。スペイン税務庁(AEAT)が正確な日付を示した公式日程を公表した場合は、本記事を更新します。
2026年10月6日に何が起きたのか
スペイン法律第18/2022号「企業創設・成長法」(Ley Crea y Crece)は、事業者・専門職間の取引において電子請求書を発行・受領する義務を定めました。勅令第238/2026号がこれを具体化しましたが、期限の起算は省令の制定を条件としていました。命令HAC/1028/2026は、AEATが運営する公的な電子請求書ソリューションを定めるものです。その唯一の最終規定により、同命令の施行をもって、法律第18/2022号および勅令第238/2026号の期限の計算が始まります。
同命令は具体的な日付を定めておらず、いわば時計の針を動かしただけです。
御社はどのグループに該当するか:取引高
勅令第238/2026号の第4最終規定は、事業者・専門職を二つのグループに分けています。
- 直前の暦年の取引高が800万ユーロ超:命令の施行から12か月後に適用。
- その他の事業者・専門職:24か月後に適用。
重要な注意点があります。基準はスペイン法律第37/1992号「付加価値税法」(LIVA)第121条に基づいて計算する取引高であり、年次財務諸表の売上高(純売上高)ではありません。両者は必ずしも一致しないため、損益計算書の数値からグループを判断するのは避けるべきです。各グループについてどの暦年を基準とするかはAEATが明確にすべき点です。それまでの間は、2025年の取引高と2026年の見込みを確認することをお勧めします。
適用日の目安
表の日付は、2026年10月6日から月数を数えた当事務所による試算です。AEATが公表した日付ではなく、判断を下す前に確認が必要です。参考までに、スペイン財務省は2026年10月5日付の公式説明資料で、売上が800万ユーロ以下の事業者に対する電子請求書の義務化を2028年10月としており、24か月の計算と整合しています。
| グループ | 基準 | 期限(勅令第238/2026号) | 目安となる日付(推定) |
|---|---|---|---|
| 大規模な請求書発行者 | 取引高(LIVA第121条)が800万ユーロ超 | 命令の施行から12か月 | 2027年10月6日頃 |
| その他の事業者・専門職 | 取引高が800万ユーロ以下 | 24か月 | 2028年10月6日頃 |
| 取引高800万ユーロ以下の個人および所得帰属団体による請求書ステータスの報告 | 第3経過規定 | 義務が適用されてから12か月後 | 2029年10月6日頃 |
| 現在FACeB2Bを利用している下請事業者 | 第1経過規定 | 命令の施行から最長24か月 | 2028年10月6日頃 |
さらに、第5追加規定は、公的ソリューションを最初の実際の適用日の少なくとも2か月前までに利用可能にするよう求めています。
請求書のステータスと実際の支払
最も影響の大きい変更点は形式ではなく、発行後の情報です。勅令第238/2026号第10条は、請求書の商業上の受諾または拒否とその日付、ならびに全額の実際の支払と実際の支払日の報告を義務付けています。一部支払や第三者への譲渡など、その他のステータスの報告は任意です。報告期限は短く、勅令はステータスが発生した時点から数える日数で定めています。そのため報告は月末の手作業ではなく、入金・支払の業務フローに組み込む必要があります。
請求書は民間のプラットフォームまたはAEATの公的ソリューションを通じて、欧州規格EN 16931に準拠し第7条が認める構文(UBL、CII、EDIFACT、Facturae)のいずれかで発行できます。公的ソリューションはUBLを基準の構文としています。簡易請求書は、原則として義務の対象外です(第4条)。
PDFを併用する経過期間
800万ユーロ超のグループに義務が適用されてから12か月間、そのグループの電子請求書には判読可能なPDF形式の表示を添付しなければなりません。ただし、受領者がPDFなしでの受領を明示的に承諾した場合は除きます(第2経過規定)。
アリカンテ県の製造業のサプライチェーンでは、大手の購入企業と小規模な工房やサプライヤーが併存するのが一般的です。数年間は義務の対象企業と対象外の企業が並存し、それぞれが相手方に何を求め、何を提供すべきかを把握しておく必要があります。
会計と監査にとって何が変わるのか
監査人の視点からは、ステータス付きの電子請求書は外部の構造化された証拠源となります。実務上の影響は三つあります。
- 売上と期間帰属(カットオフ)。発行日、受諾日、拒否日が企業の外部に記録されます。会計記録と報告内容との差異は、監査人にとっても行政にとっても見えやすくなります。
- 平均支払期間。実際の支払の報告により、勅令自体が参照するスペイン法律第3/2004号「商取引における支払遅延防止法」の期限遵守状況が追跡可能になります。年次財務諸表の注記では、すでに2016年1月29日付のスペイン会計・監査機構(ICAC)決議に従い、仕入先への平均支払期間を開示する必要があります。注記の数値とシステムから得られる数値とが整合していることが望まれます。
- 内部統制。誰がいつ請求書を受諾または拒否するかは、税務上および情報開示上の効果を伴う判断となります。責任者、承認手続、請求書発行システムと会計との定期的な照合を定める必要があります。
御社でこうした業務フローの見直しが必要な場合は、統制システムの設計と経営戦略や、年次財務諸表および注記の作成の支援が出発点となります。アリカンテ県で事業を行っている場合は、アリカンテの監査人としての当事務所の取り組みもご覧ください。
電子請求書とVERI*FACTU:二つの異なる義務
企業間の電子請求書と、勅令第1007/2023号が定める請求書発行コンピュータシステムの要件(VERI*FACTU)を混同してはいけません。両者は別個の規則であり日程も異なりますが、スペイン財務省は両者をそろえる意向を表明しています。詳しくはVERI*FACTUの日程と発表された延期で解説しています。
よくあるご質問
取引高は2025年と2026年のどちらで判定しますか?
勅令は「直前の暦年」の取引高と定めていますが、確認した条文では各グループについてどの時点を基準とするかが明示されていません。AEATが明確にするまでは、2025年の取引高を確認し、2026年の見込みにも注意を払うのが賢明です。特に御社の取引高が800万ユーロに近い場合はなおさらです。
PDFで請求書を送れば足りますか?
義務化される電子請求書としては認められません。PDFは、800万ユーロ超のグループの経過期間中に構造化された請求書に添付されるものにすぎず、受領者はその添付を不要とすることができます。
個人事業主はどうなりますか?
取引高800万ユーロ以下の個人事業主および所得帰属団体は、24か月のグループに属します。さらに、請求書のステータスを報告する義務はその12か月後に適用され、それまでは任意です。
最終消費者向けの請求書も対象ですか?
対象ではありません。義務が適用されるのは、受領者がスペインに本拠、恒久的施設または住所を有する事業者・専門職である場合です。簡易請求書は原則として対象外です。
公式情報源
- 2026年3月25日勅令第238/2026号(BOE第79号、2026年3月31日)
- 公的電子請求書ソリューションを定める2026年10月2日命令HAC/1028/2026(BOE第247号、2026年10月5日)
- スペイン財務省、2026年10月5日付公式説明資料
- 仕入先への平均支払期間に関する2016年1月29日付ICAC決議(BOE-A-2016-1112)
電子請求書が御社の請求業務、内部統制または注記の情報にどのような影響を及ぼすかを確認したい場合は、当事務所のチームにお問い合わせください。御社の状況を分析いたします。
本記事はControlauditの専門チームが作成しました。2026年10月8日更新。本記事は情報提供を目的としたものであり、個別の事案に関する専門的助言に代わるものではありません。
