「監査を受ける必要があるか」という問いの答えは、スペイン「資本会社法」(LSC)、スペイン2015年7月20日法律第22/2015号「会計監査法」(LAC)およびその施行規則(勅令第2/2021号、RLAC)にあります。ここでは現行の制度を説明します。下院で審議されていた改正のその後については、新たな監査基準値に関する法案についての記事で分析しています。
どのような会社が財務諸表の監査を受けなければならないか
LSC第263条1項によれば、年次財務諸表と、必要な場合は経営報告書は、監査人の監査を受けなければなりません。監査を受けることが原則であり、同条2項の規模による免除は例外です。RLAC追加規定第1は、この基準を、法的形態を問わず年次財務諸表の作成義務を負うすべての事業体に拡大しています。
LSC第263条2項の三つの基準と2事業年度ルール
会社は、2事業年度連続して、各決算日に次の三つの要件のうち少なくとも二つを満たす場合、監査が免除されます。
| 基準 | 現行(LSC第263条2項) | 法案121/000075の提案内容(2026年10月6日に失効、未成立) |
|---|---|---|
| 資産合計 | 285万ユーロ以下 | 356万5,000ユーロ以下 |
| 年間売上高 | 570万ユーロ以下 | 712万5,000ユーロ以下 |
| 平均従業員数 | 50名以下 | 50名以下 |
このルールは双方向に働きます。免除を受けている会社も、2事業年度連続して三つの要件のうち二つを満たさなくなれば、免除を失います。1年だけ基準を上回っても下回っても、状況は変わりません。
仮の数値による例です。ある会社が2025年度と2026年度を、総資産約310万ユーロ、売上高520万ユーロ、従業員38名で終えたとします。総資産の基準は超えていますが、他の二つは超えていないため、両決算日で二つの要件を満たし、監査は免除されます。ある決算日に売上高が570万ユーロを超えた場合、満たす要件は一つだけとなり、それが次の決算日にも続けば監査義務が生じます。
簡単な判定手順は次のとおりです。
- 事業体が後述の特別なケースのいずれかに該当するか。該当する場合は、規模にかかわらず監査を受けなければなりません。
- 設立、組織変更または合併後の最初の事業年度か。該当する場合は、第263条3項の特則を適用します。
- いずれにも該当しない場合は、直近2回の決算を確認します。各決算日に三つの要件のうち少なくとも二つを満たしていたか。両方とも満たしていれば、規模により免除されます。
設立、組織変更または合併後の最初の事業年度
LSC第263条3項には独自のルールがあります。設立、組織変更または合併後の最初の事業年度において、その決算日に三つの要件のうち少なくとも二つを満たす場合、会社は監査を免除されます。免除の適用のために2事業年度目を待つ必要はありません。
規模に左右されないケース
LAC追加規定第1は、法的形態を問わず、次の事業体に対し、いかなる場合も監査を義務付けています。
- 公式流通市場または多角的取引システムでの取引が認められた有価証券を発行する事業体。
- 公募により社債を発行する事業体。
- 金融仲介を常業とする事業体。
- 民間保険の規制・監督に関する法令の対象となる活動を目的とする事業体、ならびに年金基金およびその運用会社。
- 施行規則が定める基準の範囲内で、補助金・助成を受け、または公共部門と契約する事業体。
さらに、会社に監査義務がない場合でも、資本金の5%以上を有する株主(社員)は、特定の事業年度について、会社の費用負担で監査人を選任するよう商業登記官に請求できます。この請求は、当該事業年度の決算日から3か月以内に行わなければなりません(LSC第265条2項)。財団や協同組合に関する法令など、その他の分野別法令が独自の監査義務を課すこともあるため、個別に確認することをお勧めします。
60万ユーロ超の補助金と公共契約
60万ユーロに関する二つのケースはRLACに定められており、対象となる期間がそれぞれ異なります。
- 1事業年度に、公的予算または欧州連合の基金を財源として累計60万ユーロを超える補助金または助成を受けた場合(RLAC追加規定第2):当該事業年度と、助成対象の事業が行われる、または投資が実施される事業年度が監査の対象となります。
- 累計60万ユーロを超え、かつ売上高の50%を超える公共部門との契約の場合(RLAC追加規定第3):当該事業年度と翌事業年度が監査の対象となります。
アリカンテ県では、州の助成や欧州基金を受ける企業がしばしば該当します。詳しくは60万ユーロ超の補助金または公共契約による法定監査に関するガイドで解説しています。
監査人は誰が、いつ選任するか
株主総会(社員総会)は、監査対象となる事業年度が終了する前に、3年以上9年以下の当初期間で監査人を選任します(LSC第264条1項)。RLAC追加規定第4は、規模、補助金または公共契約によって監査義務を負う事業体にも同じルールを定めています。総会が期限内に選任しない場合、取締役または株主(社員)は、商業登記官に選任を請求できます(LSC第265条1項)。選任、作成、承認、提出の期限は、年次財務諸表と監査人選任のカレンダーにまとめています。
会社が財務諸表の監査義務を負わない場合でも、会社の組織再編などの取引で監査人の関与が必要となることがあります。たとえば、株式会社におけるLSC第301条に基づく債権の相殺による増資がこれにあたります。
今後変わるのか:改正法案は失効
財務報告上の企業規模の基準を改正する法案121/000075は、免除の基準値を総資産356万5,000ユーロ、売上高712万5,000ユーロに引き上げ、従業員50名は据え置くことを提案していました。2026年10月5日勅令第806/2026号(2026年10月6日付BOE)による議会(Cortes Generales)の解散に伴い、下院の審議記録では2026年10月6日付で「Concluido – (Caducado)」(終了・失効)とされています。この法案は成立していません。2026年度の決算には、表に示した現行の基準値が適用されます。変更には新たな議会会期での新たな立法措置が必要であり、現時点で見通しは立っていません。
よくあるご質問
356万5,000ユーロと712万5,000ユーロの新基準は成立しましたか?
いいえ。これを提案していた法案は、議会の解散に伴い2026年10月6日に失効しました。2026年度には、285万ユーロ、570万ユーロ、従業員50名の基準が適用されます(LSC第263条2項)。
1年だけ基準を超えた場合はどうなりますか?
規模による監査義務に関しては、何も変わりません。免除が失われるのは、2事業年度連続して三つの要件のうち二つを満たさなくなった場合だけです(LSC第263条2項)。
小規模な会社でも補助金は算入されますか?
はい。1事業年度に合計60万ユーロを超える補助金または公的助成を受けた場合、規模にかかわらず監査を受けなければなりません(RLAC追加規定第2)。いつ受けたとみなされるかは、会計上計上すべき時点で判断します。
監査人は誰が選任しますか?
株主総会(社員総会)が、監査対象となる事業年度の終了前に選任します。義務があるにもかかわらず選任しない場合は、取締役または株主(社員)が商業登記官に選任を請求できます。
任意で監査を受けることはできますか?
はい。任意監査は、銀行、株主(社員)、買い手に対する信頼性を高めます。監査人の選任を商業登記所(Registro Mercantil)に登記した場合は、財務諸表の提出時に監査報告書を添付しなければなりません(LSC第279条1項)。
公式情報源
- 「資本会社法」統合版(BOE):第263条、第264条、第265条、第279条
- 法律第22/2015号「会計監査法」統合版(BOE):追加規定第1
- 勅令第2/2021号「LAC施行規則」(BOE):追加規定第1から第4
- 議会官報(BOCG)下院Aシリーズ第75-1号:法案121/000075(失効)
- 下院(Congreso de los Diputados):121/000075の審議記録
- 議会の解散および選挙の実施に関する2026年10月5日勅令第806/2026号(BOE-A-2026-20742)
御社が今事業年度に監査義務を負うかどうかご不明な場合は、直近2回の決算の数値をもとに当事務所が確認します。当事務所の年次財務諸表の監査サービスと、財務諸表の作成が必要な場合は年次財務諸表の作成サービスをご覧ください。アリカンテの監査人のページでご紹介しているとおり、当事務所はアリカンテを拠点に県内全域で業務を行っています。当事務所のチームにお問い合わせいただければ、無償でご回答いたします。
本記事はControlauditの技術チームが作成しました。2026年10月8日更新。本記事は情報提供を目的としたものであり、個別の案件に関する専門的な助言に代わるものではありません。
